Q. なぜ多くの企業がMAで失敗してしまうのですか?
A. ツールの問題ではなく、リード獲得から商談化までのプロセスを整理できていないまま導入してしまうからです。
BtoBマーケティングで、MAを導入する企業は増えています。
MAとは、マーケティングオートメーションのことです。 見込み客の情報を管理し、メール配信、スコアリング、フォーム作成、シナリオ配信、行動履歴の可視化などを行うためのツールです。
うまく使えば、リードナーチャリングや商談化の仕組みづくりに役立ちます。
しかし現実には、MAを導入したものの、思ったように成果が出ていない企業も少なくありません。
よくあるのが、高い費用をかけてMAを導入したのに、実際にはメルマガ配信にしか使っていないという状態です。
つまり、MAが「高級メルマガ配信ツール」になってしまっているのです。
これは、ツールそのものが悪いというより、導入前の設計が足りていないケースが多いです。
MAは、導入すれば自動的にリードが商談化する魔法のツールではありません。
リード獲得から商談化までの流れを設計したうえで、それを実行・管理するための仕組みです。
この前提を理解しないまま導入すると、使い方が分からない、何を設定すればよいか分からない、結局メールを送るだけになる、という状態に陥ります。

まず、ツールで何ができるのかを理解していない
MAで失敗する企業に多いのが、ツールで何ができるのかを十分に理解しないまま導入してしまうケースです。
「MAを入れればマーケティングが自動化できる」 「リードが勝手に育成される」 「営業に渡すべき見込み客が自動で分かる」
このような期待を持って導入すると、かなり危険です。
MAは、確かに多くの機能を持っています。
- フォーム作成
- メール配信
- ステップメール
- スコアリング
- リード管理
- Web行動履歴の確認
- セグメント配信
- 営業通知
- シナリオ設計
しかし、これらの機能は、使えば自動的に成果が出るものではありません。
たとえば、スコアリング機能があっても、どの行動を高く評価するのかを決めなければ使えません。
資料ダウンロードを何点にするのか。 料金ページ閲覧を何点にするのか。 セミナー参加を何点にするのか。 複数回アクセスした人をどう扱うのか。
こうしたルールを決める必要があります。
また、ステップメール機能があっても、どのリードに、どのタイミングで、どんな内容を送るのかを設計しなければ意味がありません。
つまり、MAは機能が多い分、運用設計が必要です。
ツールで何ができるのかを理解していない企業ほど、導入後に「結局、何をすればいいのか分からない」という状態になります。
リード獲得から商談化までのプロセスが整理できていない
MAで成果を出すには、ツールの使い方以前に、リード獲得から商談化までの流れを整理する必要があります。
ここができていないままMAを導入すると、ほぼ失敗します。
なぜなら、MAはプロセスを作ってくれるツールではなく、すでに設計されたプロセスを効率よく回すためのツールだからです。
たとえば、以下のようなことを整理しておく必要があります。
- どのターゲットからリードを獲得するのか
- どんな資料やセミナーでリードを獲得するのか
- 獲得したリードをどのように分類するのか
- どの段階のリードに、どんな情報を送るのか
- どの行動を取ったら営業がフォローするのか
- 営業に渡す基準をどう決めるのか
- 商談化しなかったリードをどう再育成するのか
これらが決まっていない状態でMAを入れても、ツールの中にリードが溜まるだけです。
そして、何をすればよいか分からないため、とりあえず全員にメルマガを送る。
その結果、MAがただの一斉メール配信ツールになってしまいます。
本来、MAでやるべきことは、全員に同じメールを送ることではありません。
見込み客の関心、検討段階、行動履歴に合わせて、次に必要な情報を届けることです。
たとえば、情報収集段階の人にはノウハウ資料を送る。 比較検討段階の人には選び方ガイドや事例を送る。 料金ページを何度も見ている人には営業がフォローする。 セミナー参加後の人には個別相談を案内する。
このように、リードの状態に合わせて次の接点を設計する必要があります。
MA導入で重要なのは、ツール設定より先に、商談化までのプロセスを設計することです。
結果として、高級メルマガ配信ツールになってしまう
MA導入企業でよくある失敗が、「高級メルマガ配信ツール化」です。
月額費用をかけてMAを導入しているのに、実際に使っている機能はメール配信だけ。
フォームやスコアリング、シナリオ配信、行動履歴、営業通知などの機能はほとんど使われていない。
この状態では、MAを導入した意味が薄くなります。
もちろん、メルマガ配信自体が悪いわけではありません。
既存リードとの接点維持には有効です。 新しい記事や資料、セミナー案内を届ける手段としても使えます。
しかし、全員に同じメールを送るだけなら、必ずしも高機能なMAである必要はありません。
MAを使う価値は、リードの行動や検討段階に応じて、適切な情報提供と営業フォローにつなげられる点にあります。
たとえば、以下のような運用ができて初めて、MAらしい活用になります。
- 特定資料をダウンロードした人に、関連資料を自動送付する
- セミナー参加者に、補足資料と個別相談を案内する
- 料金ページを複数回見た人を営業に通知する
- 一定期間反応がないリードに、別テーマの資料を送る
- 役職や部門ごとにメール内容を変える
- 商談化しなかったリードを再度ナーチャリングする
ここまで設計できていれば、MAは商談化の仕組みとして機能します。
逆に、ここまで設計できていないなら、MAを入れてもメール配信で止まる可能性が高いです。
厳しい言い方をすると、プロセスがない会社にMAを入れても、自動化されるのは成果ではなく混乱です。
MAを活用するには、ツール導入より前に、ターゲット、コンテンツ、リード分類、フォロー基準、営業連携を整理する必要があります。
【まとめ】なぜ多くの企業がMAで失敗してしまうのですか?
多くの企業がMAで失敗する理由は、ツールが悪いからではありません。
ツールで何ができるのかを理解しないまま導入し、さらにリード獲得から商談化までのプロセスを整理できていないことが大きな原因です。
MAは、導入すれば勝手にリードを育成してくれる魔法のツールではありません。
リードをどう獲得し、どう分類し、どんな情報を届け、どのタイミングで営業がフォローし、どう商談化につなげるのか。
この流れを設計して初めて、MAは機能します。
プロセスがないまま導入すると、結局は全員に同じメールを送るだけになり、高級メルマガ配信ツールになってしまいます。
MAを導入する前に考えるべきなのは、「どのツールがよいか」だけではありません。
自社は、リード獲得から商談化までの流れを説明できるか。
ここを整理できていないなら、先にやるべきはMA導入ではなく、商談化プロセスの設計です。
MAは、正しく設計されたプロセスを強くするツールです。
プロセスがない状態で導入しても、成果は出ません。

