Q. なぜペルソナを作らないといけないのですか?
A. ペルソナの本当の役割は、ターゲットを深掘りすることだけではなく、後から上司や上層部に戦略をひっくり返されないようにすることです。
ペルソナを作る目的として、ターゲット像の明確化やニーズの深掘りがよく挙げられます。もちろんそれも重要です。しかし、BtoBマーケティングの現場では、もう1つ大きな役割があります。それは、プロジェクトの途中で「やっぱり経営者向けにした方がいいのでは」「もっと大企業向けに見せたい」といった上層部の一言で、戦略や制作物がひっくり返されるのを防ぐことです。
初期段階でペルソナを具体的に作り、関係者で合意しておけば、後から方向性がブレそうになったときに、「今回狙う相手はこの人でしたよね」と立ち戻る基準になります。

ペルソナは「誰に売るか」を固定する杭になる
BtoBマーケティングでは、戦略やコンテンツを作り込んだ後に、上司や上層部の一言で方向性が変わることがあります。最初はプロジェクトマネージャー向けに進めていたのに、途中で「それでは経営者に響かない」と言われる。こうなると、訴求、資料、LP、広告文、ホワイトペーパーの設計まで大きくズレます。
この問題の本質は、ターゲットが曖昧なまま制作に入っていることです。「中堅企業の担当者向け」程度の定義では、後からいくらでも解釈を変えられます。だからこそ、初期段階で具体的な1人の人物像としてペルソナを作り、誰に向けた施策なのかを固定しておく必要があります。
ペルソナは単なるマーケティング資料ではありません。組織内で合意した判断基準の杭です。この杭があることで、後から出てくる思いつきの方向転換に対して、冷静に立ち戻ることができます。
「課長の〇〇さん」まで作ると、ちゃぶ台返しを防ぎやすい
ペルソナは、抽象的な属性だけでは弱いです。「製造業の情報システム部門」「従業員500名規模の管理職」だけでは、まだ解釈の余地が広すぎます。できれば、「業務改善を任されている課長の〇〇さん」のように、社内の誰もがイメージできるレベルまで具体化した方が効果的です。
ここまで作っておくと、後から「経営者に響かないのでは」と言われたときに、「今回の主対象は、現場で比較検討を進める課長の〇〇さんでしたよね」と切り返せます。これは感情的な反論ではなく、最初に合意した前提への確認です。
特にBtoBでは、意思決定者、利用者、比較検討者、稟議を上げる人が分かれることが多いです。経営者向けのメッセージと、現場責任者向けのメッセージは違います。だからこそ、誰を主対象にするのかを先に決めておかないと、後から誰にも刺さらない中途半端な訴求になってしまいます。
すべての会社で細かいペルソナが必要なわけではない
一方で、どんな場合でもペルソナを細かく作り込むべきかというと、そうではありません。組織が小さく、意思決定者と実行者の認識がそろっている場合や、上層部がマーケティング方針を理解している場合は、簡易的なターゲット整理でも十分なことがあります。
ペルソナが不要だと感じる人がいるのは、このためです。少人数の会社や、社長自身が顧客像を明確に理解している会社では、わざわざ細かいペルソナシートを作らなくても、施策が大きくブレにくい場合があります。
しかし、関係者が多い組織、承認プロセスが長い会社、上層部の一言で方向性が変わりやすい会社では、ペルソナはかなり重要です。その場合のペルソナは、単なる顧客理解のためではなく、プロジェクトの軸を守るための合意文書として機能します。
【まとめ】なぜペルソナを作らないといけないのか?
ペルソナを作る本当の価値は、ターゲット像を明確にすることだけではありません。BtoBマーケティングの現場では、時間をかけて戦略や制作物を作っても、上司や上層部の一言で方向性がひっくり返ることがあります。だからこそ、初期段階で誰に向けた施策なのかを具体的な人物像として合意しておくことが重要です。
「課長の〇〇さん」のようにイメージできるペルソナを作っておけば、後からズレた意見が出たときにも、最初に決めた軸へ戻すことができます。ただし、小規模組織や理解ある上層部のもとでは、細かいペルソナ作成までは不要な場合もあります。ペルソナは必ず作るものではなく、組織内で戦略をブレさせないために必要な場合に作るものです。

